財産債務調書の提出要否の判断基準である財産の価額に、相続により取得した財産の価額も含めるのですか?
2023年1月に父が亡くなり、同年9月に相続により財産を5億円程度取得しました。この財産を含めると2023年末の段階での財産の価額の合計は10億円を超えるのですが、私は財産債務調書を提出しなければならないのでしょうか。なお、日本の居住者で確定申告書は毎年提出していますが、所得は年1,500万円程度のため、これまで財産債務調書を提出したことはありません。
相続開始年である2023年分の財産債務調書の提出義務の判定において、財産の価額の合計額からその相続等により取得した財産の価額の合計額を除外することができます。そのため、除外して判定した場合には、2023年分は提出する必要がありません。
次の@又はAに該当する場合には、一定の事項を記載した財産債務調書を、その年の翌年6月30日までに税務署へ提出しなければなりません。
相続開始年(相続の開始の日の属する年)の年分の財産債務調書については、その相続又は遺贈(以下、相続等)により取得した財産又は債務(相続財産債務)を記載しないで提出することができます。この場合において、相続開始年の年分の財産債務調書の提出義務については、上記1の財産の価額の合計額からその相続等により取得した財産の価額の合計額を除外して判定します。
除外するか否かは選択できます。
ご相談のケースを上記1@とAの条件にあてはめますと、以下のとおりです。
なお、相続開始年の翌年分(2024年分)からは、上記2のような選択はできず、必ず含めることとなります。その点はご注意ください。
今回のご相談は、相続開始年中に遺産分割が調っているケースですが、未分割の場合の取扱いなど、詳細な内容がお知りになりたい場合には、お気軽に当事務所へご相談ください。
<参考>
国税庁「財産債務調書制度(FAQ)(令和5年4月)」など