文書作成日:2023/01/20

 今回は相談事例を通じて、名寄帳の使用用途についてご紹介します。

 先日、父が亡くなりました。父は生前、実家の土地建物を祖父から相続したと話していました。父名義になっているのであれば名義を変更しなければならないと思うのですが、本当に父が相続していたのかも分かりません。調べるにはどうしたらよいですか。

 不動産を所有している可能性のある市町村が分かっているのであれば、名寄帳の写しを取得されるとよいでしょう。

 名寄帳とは、固定資産の状況や価格を明らかにするために、市町村が作成している固定資産課税台帳(地方税法(以下、法)第380条)を所有者別にまとめたものです。

 固定資産課税台帳には、所有者の氏名・住所、所在地(地番・家屋番号)や面積、固定資産税の評価額・課税標準額・税額等が記載されていますので、名寄帳を取得すれば、亡くなられた方が所有している不動産の詳細が分からなくても、同じ市町村内の所有不動産の情報を一覧として確認することができます。

【依頼するときのポイント】

 名寄帳を発行してもらう際には相続登記の漏れを防ぐため、(1)共有名義のものや、(2)免税点未満のものについても記載してもらうよう依頼しましょう。

  • (1)共有名義の場合、納税通知書は代表者のみに送付されます。代表者が亡くなった本人ではなく他の共有者になっていると、その共有不動産については亡くなった本人宛に納税通知書が届きません。
  • (2)同一名義人が所有する不動産の課税標準額の合計が、土地であれば30万円・家屋であれば20万円・償却資産であれば150万円未満であるものについては、課税されません(免税点未満とする)(法第351条)。

 市町村は名寄帳を備えなければならないと決められています(法第387条)。ところが、納税通知書と一緒に課税明細書を同封している等の理由のため、名寄帳の写しを交付していない市町村があります。その場合は、どのようにすれば亡くなった本人が所有するすべての不動産を確認できるかを役所の方に確認し、その際も、上記の共有名義のものや免税点未満のものについて、確認してもらうよう依頼しましょう。

 近年、相続登記がされない等の理由で所有者不明土地(所有者が直ちに判明しない土地や、所有者が判明しても所在が不明で連絡がつかない土地)が増えており、公共事業や復旧・復興事業が円滑に進まない等の事態になっています。

 このような問題を減らし、予防するため、2024年(令和6年)4月から相続登記が義務化されます(不動産登記法第76条の2)。もし、亡くなられた方が複数の市町村で不動産を所有している可能性があれば、相続登記に抜け漏れがないよう、可能性のあるすべての市町村に名寄せ請求して確認することをお勧めします。



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