相続を機に、テナント料の増額交渉をすることは可能ですか?
親が亡くなり、店舗を相続しました。店舗は20年前より現在のテナントに借りていただいていますが、賃料が周辺の水準と比較して割安です。テナントへ賃料の増額交渉をすることは可能でしょうか?
借地借家法で定められている理由に該当する場合は、特約などの縛りがない限り、いつでも賃料の増額交渉をすることができます。ただし、増額交渉はトラブルになることが多いため、慎重に検討しましょう。
借地借家法第32条第1項に定められている次のいずれかの理由に該当するときは、当事者は将来に向かって賃料の増減を請求することができます。
ただし、一定の期間賃料を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従い賃料の増額交渉はできません。
また、借主との合意がなければ、賃料は改定できません。
賃料の増額交渉は、以下の順序で進めていくことになります。
まずは、契約時にどのように賃料が決まったのかを把握することが必要です。例えば、契約時の賃料が、その時点の周辺相場より2割安かった場合、現在の周辺相場まで賃料を増額することは困難といえます。
インターネット検索や不動産業者へのヒアリング等により、周辺の賃料相場を調べます。また、固定資産税等や建物の火災保険料等の負担額が増加している場合がありますので、あわせて調べてみるとよいでしょう。なお、適正な賃料算定のために、不動産鑑定士に依頼する場合もあります。
上記(1)〜(2)を踏まえたうえで、現在の賃料が安いと判断される場合は、借主へ賃料増額の請求を通知します。このときの通知は、後のトラブル防止等の観点から、配達証明付きの内容証明郵便がよいでしょう。
賃料の増額について借主と交渉を行います。借主が賃料の増額を承諾すれば、合意書等の書面を取り交し、手続きは終了します。
借主との協議が調わない場合は、以下の手続きをとります。
賃料の増額について承諾が得られない場合は、裁判所に訴えを起こすことになります。ただし、賃料増額請求の訴えの場合、いきなり裁判所に訴えを提起することはできず、まずは民事調停の申立をしなければなりません。これを調停前置主義といいます。民事調停は、調停委員会が和解提案を行うなどして、自主的な解決を促す役割を持っています。
上記(1)の調停で解決できなかった場合は、裁判所に訴えを起こし、その審判を仰ぐことになります。
賃料の増額交渉はトラブルが発生しやすく、適正な賃料の鑑定を行う不動産鑑定士や、トラブルが発生した場合の弁護士など、専門家の助けを借りるケースが多いです。これらの専門家に支払う報酬額は少なくありませんので、増額請求する賃料との兼ね合い(費用対効果)を考慮したうえで、慎重に進めることが必要です。